人間関係は「人」に焦点を当てるのではなく、”園の課題”として捉える
2020年6月26日19:00~は
オンライン開催の研修講座「人間関係が円滑になるポイント」です。
当日実践ワークとして書き出して行う「園内システムの捉え方」ワークの内容を、
こちらにて一部ご紹介いたします。
「人の質」が、「保育の質」
雑然とした環境・または
きれいなおもちゃは揃っているもののの中で大人の都合が優先され、
子どもが大人の顔色をうかがうといった「保育」もあれば
子どもの育ちを丁寧なまなざしで見つめ、それぞれにとって必要な支援ができるよう
細やかな配慮がなされている「保育」もあります。
できれば、子どもにとって意味のある環境への配慮をプロの目線でできるように
日々の中での工夫や配慮をしていきたい。
~そう思ったときに、何か決められた型があり、それ通りに機械的に進めていくことはできず
日々心理的な要因や家族・社会環境に影響を受けながらも
未来を見据えた保育を行っていくのはやはり「人」になります。
質の高い保育が行われる人的環境とは?
「人」の質が「保育」の質だとすると、
どのような人と人との関係性があるとそれを実践していくことができるのでしょうか?
・より良い保育環境へ向けて、意見が出し合える
・変化や気づきへの対応力がある
・安定した養育的関係性を継続的に持つことができる
・次世代が成長できる環境
・社会の変化に合わせて新しい風を取り入れ、変化していける組織
・子どもが大人同士の背中から「大人のロールモデル」として
信頼関係を学ぶことができる、職員間の関係性
~といったことがあるのではないでしょうか。
(ここはまた別の機会に、詳しくご紹介をさせていただきますね。)
保育は人間関係で成り立っている
誰か一人が質の高い保育を実践しようとしても、
他の人にその意識がなければ保育の足並みがそろいません。
保育はチームで行うものなので、そのための”意識の共有”や連携・役割分担が必要です。
こういった連携を行っていく上で重要になってくるのが、そこにいる人の人間関係です。
・それぞれが思いを口にすることができていますか?
・子どもの捉え方・園の方針はどのくらい腑に落ちていますか?
~実践していくのは現場なので、最前線の先生たち一人一人が腑に落ちていることが大切です。
・言えない雰囲気になっていませんか?
・疑問に思うこと、語り合えていますか?
・良かれと思って声を掛けたら、伝え方がまずかったのか雰囲気が悪くなってしまった・・・
~など、ありませんか?
こういった日々のコミュニケーションの積み重ねが関係性を構築していき、
「園内の雰囲気」や暗黙の了解など園内の「風土」を形成していきます。
ここで暮らしている保育者は、見えない“関係性のシステム”の上で仕事をしているのです。
人間関係が気まずい、居心地が悪い・・・と感じる時、
どうしても「ある人」に焦点が当たることがあるかもしれません。
あの人との関係がーーーと、頭を離れないこともあるでしょう。
じつは、「あの人」も、この「園内の関係性のシステム」の一部です。
人に焦点を当てるのではなく、子どもを取り巻く園システムに目を向ける
人を変えることはできませんが、
子どもを真ん中にした理想の園・理想の状態を踏まえて
「園の課題」を見つけ、システムに働きかけ、改善提案をしていくことはできます。
たとえば、「言いたいことをうまく伝えあうことができない風土」だとすると
園内研修の機会を活用してワーク―などを行い
「お互いが受け取りやすくなるように伝えあう工夫」について取り組んでいくなど。
実際、私のいた園でも育成のやり取りで「見て盗め」を当たり前とする雰囲気があり
見るに見かねて発した言葉がきつく、人が辞めてしまうーーーといった現状がありました。
「きつい人」を変えようとするのでは、なかなか変化は起きませんが
「時代が変わり、社会や常識が変化する中でかかわり方が分からず、指導の仕方を模索している」
という園の現状の課題と捉えることで、批判的な空気から一緒に考える空気に変わりました。
そこで、職員会議の一部で時間を取って
「これまでしてもらってうれしかった指導・これからへのリクエストは?」
「どんな仕組みを作っていこうか?」
~と話し合う中で、マニュアルの見直しや
OJT・OFF JT・育成担当・おかん(利害関係のない補佐役)・ご飯を食べに行くサポート
・・・など、試行錯誤をしていく中で関係性が深まり 離職が減ったという経緯もありました。
課題をポジティブに捉え、保育者が心地よい状態で保育を
より良い園・素敵な保育実践を重ねていく園へ向けて
理想的な園ばかりではないでしょう。
「なんでうちの園ばかり・・・」とため息をつきたくなる園もあるかもしれません。
ですがじつは、前に進む園ほど社会の変化に伴い“新たな課題”が見えてくるため、
常に「新たな課題」が見つかる状態になります。
人間は気になるところが目に付くようになっているため、不安や不満が出やすくなりますが、
じつは上手く行っているところもたくさんあるはずです。
これまで大切に築いてきた土壌や文化の中にある宝物を振り返りつつ、
園の理想の状態:「どうなりたいか」へ向けて、ポジティブに課題を語り合っていきませんか?
保育者の存在こそが、子どもの大切な環境です。
今ある豊かさに目を向け 笑顔を取り戻しつつ
~理想へ向けた一歩を見つけていきましょう。
2020年6月26日開催:人間関係が円滑になるポイント
<プログラム>
1.園内の人間関係とは
2.園内の空気感を客観的に捉える
3.人間関係を円滑にする 4つのポイント
4.明日への一歩
~といった流れで園内の人間関係や空気感をシステムで捉えて改善ポイントを見出し、
4つのポイントで具体的なアプローチを考えていきましょう。
■日 に ち:2020年6月26日(金)
■時 間:19:00~21:30
* ご希望があれば、領収書を添付させていただきます。
■参加方法:オンラインツールZOOM
*レジュメは各自でご印刷下さい コンビニプリントはこちらから
■料 金:一般 4,000円
会員 3,500円
【保育コミュニケーション協会 会員登録はこちら!】
■お申込みはこちらから お支払いはこちらから
<ファシリテーター講師:松原 美里>
認定こども園エクレス 保育園 前施設長・UmehanaRelations/保育コミュニケーション協会 代表。 横浜女子短大 保育科にて保育士資格・幼稚園教諭二種免許取得。 保育園・児童養護施設にて保育に携わる中で子どもを支える大人のサポートの必要性を感じ、コーチングを学ぶ。 米国認定コーアクティブコーチ資格取得。 All About「育児の基礎知識」元ガイド。 認定こども園 エクレス(保育園)施設長時代、こども園への転換時の混乱・職員の離職・育成・働きやすい職場作りの課題に直面する中で、さまざまな学びが道を切り開く助けになった体験からコミュニケーションと学びの手法を活用して、参加者それぞれの中にある答えを引き出す研修を行う。 現在は各地の保育士キャリアアップ研修(マネジメント)を担当しながら、保育コミュニケーション協会代表としてファシリテーター育成の傍らで自己主催研修・コーチング研修・子育て支援研修・監修等を行っている。
<過去開催時の参加者の感想を一部ご紹介します>
・不満の言葉そのものに気を向けるのではなく、
その裏にある心を知ることが大切で、
それを相手に伝える事も大切なんですね。
・園の様子を図に描くことで、明確化できてよかった。
客観的にものごとを見られるように意識したいと思います。
・自分の感情に気づく、
不快に思っていることを認識してまるを出し、流すというのが
相手に対してばかり目がいってしまいがちだったので、「なるほど」と思いました。
・「保育は感情労働」の所が印象的でした。
あまり自分の気持ちを考えたことがなく、
周囲の顔色ばかり伺っていたので、もう少し快・不快を感じていきたいです。
・新人、中堅、ベテランとそれぞれの立場が抱える悩み、
視点について知ることができ良かった。
・価値観は違うものだという事が分かり、
考え方を変えることで良くなりそうなので頑張りたいです。
・ロープレをしながら理解を深めていく方法は、毎回勉強になります。
・自分の前提と相手の前提は違いということ。
・不満を上手くリクエストにつなげていきたいです。
・人に話を聞いてもらえるのは快だということ。
不平不満もリクエストに変えていきたいです。
・相手の意見を言いやすい雰囲気を作り、傾聴したいと思います。
・うまの合わなさそうな人にも関心を持ち、声を掛け合いたいと思います。
・人を信じて自分から関わりを持つようにしていきたいです。
・相手の価値観を聴き、相手の願いや思いを知ることから始めたいと思います。
・怖がらずに声をかけ、少しずつ信頼感を築きたいなぁと思いました。
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人間関係の悩みにハマると、
自分の目線から見たことが頭から離れなくなりますが---
人は関係性の「システム」の中におり、
視点を変えることで
いろいろと糸口が見えてくることもあります。
あなたの職場を良くする答えは、
じつはあなたが一番良く、知っているのかもしれません。
さまざまなアプローチを活用して、
素敵な保育というお仕事を長く続けていけるよう
幸せな職場を築いていっていただきたいと願っております