価値観の違う保護者との関わり方のヒント
こんにちは上野です。
新年度、子どもも大人も新しい環境に慣れるまでは気持ちが落ち着かない…そんな毎日だと思います。
きっと、新しい出会いもたくさんあったことでしょう。
保護者の働き方が多様化している今、子育ての考え方や価値観も様々になっていると感じることもありますよね。
そんな保護者とのコミュニケーションでは
どうやって伝えたら分かってもらえるか?どのように関わっていったらいいのか?
悩むこともあるかもしれません。
私も保護者の価値観がどうしても受け入れられず、悩んだ経験がありました。
そこで今回は、「価値観の違う保護者との関わり方のヒント」をお伝えします。
泣くのはいけないことではない⁈
2歳児クラスの担任だった時、毎朝お母さんに抱っこ紐で抱かれて泣きながら登園する女の子がいました。
担任としては、笑顔で登園して欲しいという思いと、泣いているからといっても赤ちゃんじゃないから
抱っこ紐はどうなんだろう?という思いもあり、お母さんと面談をすることにしたのです。
そこで私は「子どもにとって、こうしたほうがいい」という、保育士として当たり前に思っていることをお母さんに伝えました。
すると、お母さんから全く予想していなかったことばが返ってきたのです。
「もう3歳、ではなく、まだ3歳なので、子どもが抱っこして欲しいというのなら、その願いは叶えてあげたいと思っている。泣くことはいけないことではないので、本人が自分で泣き止んで、もう抱っこしなくていい、と言うまでこのままでいいと思っている」
お母さんの考えは、その時の私にはない価値観だったので、とても驚いたのを今でも覚えています。
私は、お母さんのことばをすぐには受け止めることが出来ず
「毎日泣くのは、お母さんが泣かせているようなものだわ」
「お母さんは、まだ赤ちゃんでいて欲しいと考えているのかしら?」
といった思いが沸いてきて、分かり合えないことにもどかしさを感じました。
保護者の思いを受け止めることから関係をつくる
保育士は、子どものことを考えて、子どもの成長発達に一番良い状態を作ってあげたい!
という思いがありますよね。
その気持ちは大事だと思うのですが、子どものことを一番に考えるあまりに
保護者を敵に回してしまう…
そしてトラブルに発展!
そんなケースも身近にありました。
私は、すぐには価値観の違うお母さんのことばを受け止められなかったのですが、
なんとか自分の思いを押さえて、客観的に見てみることにしました。
保育には「これが絶対に正しい」という正解はないと思うのです。
本当にこれでいいのか?という答えも、
子どもが成長していく過程でしか分からない…。
大事なことは、保護者と一緒に子どもの育ちを支えていくのが保育士の役割だということ。
私は、価値観の違う保護者の「子どもへの思い」に目を向けることにしました。
すると、我が子を大切に育てているからこそ、
子どもの気持ちを大事にしていることや
自分から泣き止む日が来る、と信じていることなど、
お母さんの思いが見えてきたのです。
やっとお母さんの思いを受け止めることが出来た時、
そこから信頼関係作りが始まったように思います。
朝の受け入れの時に「先生も抱っこで受け入れて欲しい」というお母さんのことばも、
子どものことを思ってのことばなんだと思えるようになり、
私自身が女の子を笑顔で受け入れることが出来るようになりました。
その後時間はかかったけれど、女の子は自分から歩いて登園する日が増えて、
卒園時にはとてもしっかりしたお姉さんになりました。
保護者の思いを支えるのも保育士の役割
様々な働き方や家族のかたちの多様化が進んでいる今
「価値観の違いはあるのが当たり前」という前提を持つことも大事かもしれませんね。
そして、子どもにとっての一番を考えると同時に保護者の思いや
考えを受け止めて支えていくことも、保育士の大切な役割だと思います。
相手を知る、価値観が違っても、その価値観の奥にある相手の思いを受け止める、
そこから関係作りを始めてみてはいかがでしょう。
子どもたちが健やかに成長していくために、
保護者と一緒に子どもの成長発達を支えていきましょうね。