〔「忙しいから、仕方ない」!? ~本当の課題は その奥にある 〕
子どもたちが夢を描ける未来へ向けて、
おとなが輝く背中を魅せる お手伝いがしたい~そんな思いから、
ご家族の一番近くにいる保育者の支援を
させていただいております。
その中で、
「松原さんが研修でお話ししていること、
もっと詳しく知りたかったです」
「大事だなぁ・・・と思っても、
現場に戻るとつい、引き戻されてしまいます」
~そんな声をいただくことが多くなり、
不定期で、松原が研修の中でお伝えしていることや
身近な園さんとのやり取りから
「これは共有できたらみなさんのお役に立てるかもしれない」
~そう感じたことをお届けさせていただきます。
===
忙しい毎日の中で、つい
「自分がやった方が早い」と感じてしまうこと、ありませんか?
これは私がフォローに入ったときのお話です。
「人が足りないので、入ってください」
~といわれて、「行くよ!」とフォローに入ってみると・・・
「あれ?」
~あの子、観てほしいってサインを出しているけれど・・・
担任は、他の子につきっきりになっていて
目を向けられていないとします。
そうすると・・・子どもは、自分を観てほしいので
立ち上がり、担任の気を引こうと
腕を引っ張り、「抱っこ!!」という・・・。
「ねぇ、先生。
目の前の子だけ観ていると、
他の子達が不安になって それぞれが別のサインを出すようになるよ。
全体を見て、一人一人に
『観ているよ』というメッセージを目で送ってみたら?」
~と、良かれと思って提案するものの、
「やってます!」
とつっけんどんに返されてしまう・・・。
いやーーーそれが出来ていないから、
こうなっているんじゃないかな?
・・・とはいえ、それを言ってしまうと、またプン!とされてしまう。
とほほ・・・と思いながらも、
あの先生はあの先生なりにやっているんだし、
言わない方が良いのかな・・・。
~と、伝えるのを控えて
自分がそれを体現してみる。
見てくれたらいいな、気がついてやってくれたらいいな・・・。
そんな願いを込めつつもーーー
現実的には、目の前のことでいっぱいになっている担任には
その願いは届かず。
「先生がいるときは、落ち着いているんですよ。
でもいなくなるとーーー大変になるんです!」
~えーーー!!
だからそれは・・・子どもの育ちといまのニーズを捉えて
必要な関わりを、必要なだけ、
しているからなんだけどなぁぁ・・・。
う~む。。
結局、その場限りのフォローにしまう。
・・・そんな風に、
トホホ感を感じることがありました。
こんなことを繰り返していては、
結局 場つなぎのフォローでしかなく。
現場はつぎはぎ的にフォローを求め
永遠に『ゆとり』が出来ることはありません。
<忙しいから、仕方ない>ですか?
毎日の流れを回すことに一生懸命で、
その中に子どもを乗せることだけ考えて
子どものチャレンジしたい気持ちや見守ってほしい目線・
背中を押してほしい不安など、見逃してはいませんか?
そうするとーーー
「そこじゃない!」ので、子どもは別のサインを出します。
ザワザワするのはーーーなにかのサインなのかもしれません。
本質的な課題はーーー
じつは、担任の ”子ども理解” ともいえるのかもしれません。
Q.この子は、いまどんな発達段階にいるのかな?
Q.いま、どんな気持ちでいるのかな?
Q.いま、何に興味関心があるのかな?
Q.いま、どんなチャレンジをしたいのかな?
ーーーこれらを踏まえて、
Q.どんな環境設定をすると、喜ぶのかな?
Q.子どもたちが育ち合える場のために、
どんな仕掛けやかかわりを、保育者はしたらいいんだろう?
~こういったことを、担任間で相談できるといいですね。
とはいえ、忙しい毎日の中でやることに追われてしまい、
そもそもその視点を持っていない人もいます。
そうすると、伝えてもピンとこなかったり
お話に載ってきてくれなかったり
無言になったり
話が噛み合わない・・・ということもあるのではないでしょうか。
・発達
・子どもの気持ち
・興味関心の見抜き方
・子どもにとってのチャレンジの読み解き方
・環境設定の工夫
・保育者のかかわり方・立ち位置・姿勢
~それぞれ、とても奥深いテーマですね。
じつは、私の居た園では、
・新卒からこの園に勤めている職員
~これまでのやり方がすべてだと思っている
・中途採用の職員
~以前勤めていた園のやり方をベースで持っている
・この園が初めての職員
~といったさまざまな立ち位置があり
じつは保育者によってルールもやり方もちがっているーーー
という現実がありました。
クラスが変わると、
「前のクラスの時は良かったのに、どうして学年が上がるとダメなんですか?」
・・・という声が出てしまったり・・・。
フリーでフォローに入ってくださる先生達からは
「クラスによって、ルールがちがうので
空気を読むのに精一杯です。
また、子どもの成長によって、
これまでNGだったことがOKになっていることも・・・。
本当に、どう振る舞ったらいいのか緊張します。」
~という声も。
そして、視点が保育者によってちがっているとしたら・・・
もはや、カオスですよね・・・。。
日々の保育を乗り切ることは、大切です。
ただーーーその毎日、ずっと繰り返しますか?
疲弊して保育者が辞めて行ってしまう前に、
”そもそも”の本質から改善していきませんか?
大切なのは、一歩引いて
園全体にとっての理想の状態=ゴールとは何か?
それが達成できた先には、どんな状態が待っているのか?
子どもを真ん中に、みんなが目指していきたいゴールを
ヴィジュアルに明確化し、現状を俯瞰すること。
そして、ゴールと現状を埋める課題を
コツコツと改善していくことです。
これは、松原自身も現場にいるときにやっていたことであり、
講座や研修の中では
ロバートフリッツの緊張図を活用して書き出し、
整理をしていくという手法を取ります。
実際に松原も現実を俯瞰し、書き出してみたところ・・・
出来ていないことが目について
「あれもやらなくちゃ」
「この課題もあるのか・・・。」
と課題のオンパレードに気が遠くなり。
「まずはこの分野のことを勉強しよう」
・・・と学び始めるほどに
「ええっ、うちの園って・・・このレベル感だったのか・・・。」
~と気がついてしまい、
道のりの遠さに気絶しそうになることもありました。
ですが、こう考えてみてはいかがでしょうか。
もともと、そのレベル感だったのです。
そこに、気がつけてよかった!
気がついたところが、スタートなのだ、と。
ここで、大切なのは課題をテーブルに上げて
目指す方向へ向けた道のりを見定めていくことです。
一人だけが勉強をして、意識が高くなっても
園内では浮いてしまうかもしれません。
松原も以前、頑張りが空回りしてしまい
「また施設長、がんばっちゃってるよ」
「実際やるのは私たちなのにね・・・。」
「よけいなこと、しないでほしいよね。」
~と言われていたのを聞いて、ひそかに傷ついていました。
人は 変化が怖いものなのです。
見たことがないこと・やったことがないことは不安ですし
それをもたらす人に対して、
抵抗や批判が生まれることも良くあります。
大切なのは、一人でがんばらず、
園内の職員を巻き込んでいくことです。
変化には時間が掛かりますが、
問いかけをもらったことは、頭に残ります。
少し時間差=タイムラグがありながらも
「そういえば・・・○○先生が言っていたあれって、このことかな。」
~と、ふとアンテナが立ちはじめることもあります。
ぜひ、園を巻き込むファシリテーション=働きかけによって
ゆっくり、じっくりと園に変化を導いていってくださいね。
このあたりを、園内ファシリテーター育成講座では
第1回目にじっくりと書き出し、
自園の全体を捉えて 課題と向き合っていただきます。
ファシリテーション・・・!?
聞いたことがあるけど・・・それって 司会のことじゃないの?
いえいえ、じつは・・・
司会はファシリテーターのお役目の一つであって
すべてではありません。
また別の機会に、
「ファシリテーションってなぁに?」について
ご紹介していきますね。
どうぞお楽しみに!