抱え込んで、苦しくなるーーー!?子どもたちのHappyな未来へ向けて、叡智を引き出すファシリテーターへ

「無理です。できません。」
「やってます!」
「家庭の事情があるので…○○しか入れません」
「先生、○○なので…○○したくないです。」

~わかりました。
そうですよね…。

職員の声を聞くほどに、
どんどん追い詰められて

「分かるけど…どうすりゃいいのよ。
 もう、動ける人がいないんですけど…。」

呼吸は苦しくなり、途方に暮れてしまう…。
理事長からは、

「松原さん、○○できていないけど どうなってるの?」

~おっしゃることはわかるんです。
とっても大切なことですよね。
ただーーー現実的に、それができる”人”がいないんです。。
そんな中で…

「えっ、今年度でやめる!?」

~さらに人がいなくなっていく…。
もう、苦しくて どこにも思いのやりようがない。
~そんな気持ちを、当時の私は抱え込んでいました。

===

おつかれさまです。
子どもたちが夢を描ける未来へ向けて、
おとなが輝く背中を魅せる お手伝いがしたい
~そんな思いから、
ご家族の一番近くにいる保育者の支援を
させていただいております、松原美里です。

長文シリーズですので、
お時間のある時にお読みください。

前回は、園内ファシリテーター育成講座でもご紹介している
全体像を捉えて本質的な課題を見抜く視点について、
お伝えさせていただきました。

そこで鍵になってくるのが、
「ファシリテーター」としてのかかわりができる人の存在です。

ファシリテーションとは?

「知ってます、ファシリテーションって
 場を仕切ったり、司会をする人のことですよね?」
~たしかに、その側面もありますね。
ただ、それだけではありません。

===
ファシリテーターとは
『話し合いにおける相互作用のプロセスから、
 課題を達成するために 多様な人材のアイディアや
 気付き・相互理解や情報共有を促進する技術』
であり、ファシリテーション能力によってチーム内での
理解や合意形成をサポートする重要な役割を担う人
===
とされています。
概念としては、場面に限定されず。
さまざまな場面で、生かしていくことができる
アプローチなのではないでしょうか。

そのためには、いくつかの観点からの準備が必要になります。

マネジメント研修の中では、”前提あって”のファシリテーター役

実際、今年度から保育士等キャリアアップ研修 
マネジメントの中でも
「ファシリテーター制度」を取り入れており
人の意見を引き出すお役目であり、その時には
リスクマネジメント・時代の変化・保育の質・
育成・働きやすい職場…など
つ一つのテーマについて、松原より以下の講義を行います。

・現場で起きていること・現状の課題や葛藤
・長い目で見て、子ども・保護者・園にとっての理想とする状態
…そうして全体像が見えてきたところで、

 Q.そのために、どんなことができるだろうか?
  ~今、感じていることは?

 …といった問いを投げかけ、まずは個人ワークとして
 それぞれが感じていることを書き出して
 整理していただく時間を設けます。

 その上で、ファシリテーター役の方にこのようにお願いをしております。

「グループの中の皆さんに対して、まずは
 “おつかれさまです”と声を掛けてくださいね。
  その上で、
 “ここまでで私が感じたのは、こんなことでした。
 みなさんは、いかがですか?”

 ~と、投げかけてみてくださいね。

 人は心が動くと、表情が変わります。

 よく見ていていただいて、
 心が動いているな、と感じた人にお話を振ってみてください。」

~と。そして、

「お話をしていただくとき…実は、発言者も勇気がいります。
 批判や否定をされると、心が閉じてしまいますので
 まずは感謝で、“○○ですね。大事ですよね。”と受け止めていただき
 +αのコメントを入れていただいてから、
 “ほかの方はいかがですか?” 
 ~と、ほかの人の意見も募ってみてくださいね。

  それぞれが話を終えたら、あらためて
  “ここまで、お話を聞いてみて…私は○○と感じました。
  みなさんは、いかがですか?”と、振ってみてくださいね。」

 …と、お伝えしています。

 みなさん、はじめはドキドキしながらも チャレンジ下さり、
 いろいろな意見が重なり合う中で視点が変わってゆき
 「だとすると…やっぱり大切なのって、○○ですよね。」
 ~と、感慨深い問いを持ち帰るようになります。

…とはいえ、これは研修という限られた空間の中でのこと。
会議の司会も、同様かもしれません。

ご提案としては、こういったことを…
園内のさまざな事象に置き換えて、行っていく
“ファシリテーター”を意識してみていただきたいのです。

園内のさまざまな事象に置き変えて行う、園内ファシリテーターへ

当時、行き詰っていた私は、職員からも
「エゴが強く、思い通りにならないと般若のような顔になる」
~と、360度フィードバックでコメントをいただくなど、
行き詰った状況になっていました。
そこで…
清水の舞台から飛び降りる気持ちで、
リーダー会(MTG)にて

「本当は、○○な状況を目指していきたいのですが…
 現状、理事長からは○○というお声をいただいており、
 現場の先生たちからは、○○という声が上がっており。
 私の思いとしても、現場に負担を掛けたくない…ということで
 行き詰まりを感じています。
 なにができるでしょう…。
 みなさん、知恵を貸していただけませんか?」

~と、問い掛けていきました。
シーン…とした背中を冷や汗が流れる時間のあとに、
「こういうのは、どうなんですか?」
…と、ぽつりぽつり、と声が上がり始め 
対話の場につながっていきました。
現場は答えを持っていたのです。

一人で抱え込むのではなく、いっしょに考えていくチームであること

理想の状態へ向けて
さまざまな状況をテーブルに上げて、問を共有しながら
できる一歩を見つけていくことで、園全体が動いていきます。

園内ファシリテーターの存在が、カギになる

自らの目指す方向だけではなく
園全体が向かっていく方向性を理解する視点を持ち、
他の職員のいま見ている世界観や求めていることを理解して
求めていることを知るための視点が身についていて、
職員の心を掴む捉え方・アプローチの仕方が分かると…。

園全体の叡智を導き出す、調整役として
大切なつなぎのお役目ができるのではないでしょうか。

私たちがご提案している園内ファシリテーターは、
こういったかかわりができる人のことです。

こういう方、園にお一人 いらっしゃるといいですよね。


『自分一人がリーダーとして解決策を考えだす役目』
なのではなく、
他の仲間の意見や気づきを引き出し、
園にとって良い答えを 導き出すことによって、
多様性の分だけ可能性が広がる。
~そんなかかわりができる
ファシリテーターを目指してみませんか。

具体的なやり方は、
12回に分けて園内ファシリテーター育成講座の中で
園を振り返りながら、一緒にワークで深めていきましょう。

園内ファシリテーター育成講座、2025年スタートは1月です。

次回は2026年4月以降になりますので、
気になっている方はご調整くださいね!

とはいえ…
じっさいに園で働いていると…
つい、思いがあるため 反応して強く言ってしまったり。

期待の分だけ、ガッカリ感が顔に出てしまったり…
なかなかうまくいかないところもあるのではないでしょうか。

今すぐ、に目を向けると 短期的な成果結果に翻弄され
一喜一憂してしまうのですが
園の改革は、残念ながらすぐに成果が出るものではありません。

広い視野を持ちながら捉えることについて、次回はご紹介していきますね。

最後までお付き合いくださり、どうもありがとうございました。
次回も長文シリーズ、どうぞお楽しみに!