【不適切保育とは何か ― 最新の動向と社会的背景】線引きはどこ?──「不適切な保育」を考える

「不適切な保育」という言葉を聞いて、あなたはどんなことを思い浮かべますか?
最近、ニュースでも取り上げられることが増えてきたこの言葉。保育の現場では、戸惑いや不安の声が聞かれています。

「なにが不適切…!?」

「不適切」という言葉に萎縮してしまう保育者の方も少なくありません。
たとえば、食の細い子の量を減らすなど、個々の対応をしているつもりが、不適切でしょうか。

保育の現場での戸惑い

適切な「叱り方」とは?「怒る」とのちがいは?

実は保育の変化に戸惑いを感じることがある──。
そんな声が、あちこちから聞こえてきます。

一方で、認識不足で不適切になっている人も見受けられます。
たとえば、怒鳴る、泣いても食べさせる、といった行為。

上の立ち位置の職員が不適切なかかわりをしていたら…どうすればいいのでしょう?
また、不適切なかかわりをしてしまう自分に、自己嫌悪を感じている方もいるかもしれません。

危険を感じたとき、大きな声を出してしまう。片付けをせかしてしまうとき…など。

知る → 理解する → 気がつく → 立ち止まる → 選択する → 出来る状態へ

このプロセスを、一緒に歩んでいきませんか?

そもそも「不適切な保育」とは?

令和2年度子ども・子育て支援推進調査研究事業では、不適切な保育を次のように定義しています。

「保育所での保育士等による子どもへの関わりについて、保育所保育指針に示す子どもの人権・人格の尊重の観点に照らし、改善を要すると判断される行為」

具体的には、以下の5つの行為類型が示されています。

  1. 子ども一人一人の人格を尊重しない関わり
  2. 物事を強要するような関わり・脅迫的な言葉がけ
  3. 罰を与える・乱暴な関わり
  4. 子ども一人一人の育ちや家庭環境への配慮に欠ける関わり
  5. 差別的な関わり

線引きは、簡単ではない

この定義を見ても、「じゃあ、具体的にどこまでがOKで、どこからがNGなの?」という疑問が湧いてくるのではないでしょうか。

保育は、一人ひとりの子どもの個性や発達段階、その日の体調や気持ち、家庭の状況…さまざまな要素が絡み合う中で行われています。線引きは簡単ではありません。
でも、だからこそ、学び続けること、語り合うこと、立ち止まって考えることが大切なのではないでしょうか。

<参考文献>

関連リンク

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〔10のスキルで防ぐ!「不適切保育」脱却ハンドブック〕
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