現場の“うまくいかない”は、誰かのせいじゃない【レポート】園内ファシリテーター育成講座・第8回
ある園で聞こえてきた声。
「なんだか、連携がうまくいかない」
「ジェネレーションギャップを感じる…」
「頑張ってるのに、どうして伝わらないんだろう?」
そんなモヤモヤとした違和感に向き合うため、職員のみなさんに「園で、クラスで、一体何が起きているのでしょう?」と問いかけながら、実際の出来事を言葉にしていただく時間を持ちました。
出てきたのは――
「忙しさのあまり、話しかけにくい雰囲気になっている気がする」
「いつも何かに追われていて、落ち着けない」という声。
それって、もしかすると個人の問題ではなく「園のシステム」の一部なのかもしれません。
今回の《園内ファシリテーター育成講座》第9回のテーマは、
「システム思考で園内を捉えてみる」
システム思考で園内を捉える
私たちの身のまわりには、さまざまな“システム”が存在しています。
たとえば――
- 家族の中の関係性(代々引き継がれるものも)
- 園内の職員間の風土や空気感
- 保育制度や社会的な背景、地域の文化
- 保育という営み自体が持つ“常識”や“暗黙の了解”
これらはすべて、有機的に絡み合いながら「現場の当たり前」を作り出しています。
だからこそ、目の前のトラブルや違和感は、「人」の問題だけではなく、「システムのクセ」が生み出している可能性があるのです。
「誰かのせい」と考えるのではなく、「今、この状況の背後には、どんな流れや仕組みがあるのだろう?」
そんなふうに捉え直すことで、園の空気は少しずつ変わっていきます。
参加者からの気付き
「そうか、“共通の敵”を作ることで団結する…これも、ある種のシステムなんだ」
「本質って、“起きていること”じゃなくて、“その背景にある繰り返される仕組み”だったんだ」
「“表面だけを見ていた自分”に気づいて、目から鱗でした」
さらに、実践に移した園からの声も。
▶【怪我が減った!背景には子どもの人数調整という“仕組み”】
園庭に出る子どもの人数が多すぎるのでは…?と話し合い、曜日や時間ごとに分散してみたところ、子どもの怪我が明らかに減少。――それは「好循環のシステム」でした。
▶【落ち着かないクラス、実は…】
バタバタしているクラスの背景には、保育者の「○○でなければならない」という固定観念や、“暗黙の了解”が関係していたのかもしれません。
それに気づいたことで、「保育って、もっと柔らかくていいんだ」と、職員の表情がふっと和らいだそうです。
こうして、「出来事」に振り回されるのではなく、その背後にある“つながり”を見つめていく力を育むことが、園全体の風通しや成長に繋がっていくのだと感じています。
園内ファシリテーター育成講座も、いよいよ残すところあと3回となりました。
次回の開催にご興味のある方は、こちらをご覧ください。
▼園内ファシリテーター育成講座(公式ページ)
https://hoiku-communication.com/ennaifacilitator-ikuseikouza/
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