保育の課題を【本質的】に解決する研修を作るには?
こんにちは、保育コミュニケーション協会 松原です。
人が辞めてしまう・・・。
なかなか人が育たない・・・。
モチベーションがなかなか上がらない・・・。
~などなど、現場で行き詰まり感を感じる課題に
出会うことがあるのではないでしょうか。
そんな時、どうしますか?
今回は、保育の課題を【本質的】に解決する研修を作るには?という切り口から
研修の持ち方について、考えてみましょう。
たとえば、人が辞めてしまうとき。
「辞めないようにするにはどうしたらいいか?」と考えて
辞める人に理由を聞いていくと
・やりがいを感じない
・人間関係に疲れた
・やりたい保育ができない
・お給料と仕事の中身が釣り合わない
~などなど、理由が上がってくるかもしれません。
では---どんな工夫ができるか?
そう考えて、人い一つに対応するような対策を考えると
●やりがいを感じない
~その①:やりがいのある仕事・お役目を与える、
⇒今よりも業務量が増えて、かえって疲弊してしまう
⇒結果、離職
~その②:残業を減らし、
休憩・有休が取れる園づくりに力を入れる
⇒現場から「変える」ことへの反発が起こり、
ものごとが前に進むのに時間がかかる
⇒さまざまな決め事が中途半端になり、
結局モヤモヤした中で業務を進めることになる
⇒現場のモチベーションが下がり、離職につながる
●人間関係に疲れた
~人間関係のあたりがきつい人の間に誰かが入る・
ぶつからないよう、組み合わせ・配置を工夫
⇒それぞれが当たり障りのない会話で保育を進める
⇒お互いに気を使いすぎて、かえって疲れてしまう
⇒本音を言えない、
頼ることができない表面的な関係性
⇒頑張っていると思っていた人が・・・突然、離職
●お給料と仕事の中身が釣り合わない
~お給料を上げる工夫をし、
職員のモチベーションを上げようと努力する
⇒最初は喜ぶが、慣れてくると その金額がふつうになってくる
⇒やはりこのお給料では、業務の内容と見合わない・・・!
・・・と不満が蓄積してくる
~etc,etc
あれ??
良かれと思って対応をしているのに---
前に進んでいるはずが、
さらなる課題が生まれているような---?
これから、どうしたらいいの?
~と、途方に暮れてしまうことも
あるのではないでしょうか。
じつはこれ、
目の前の課題に一生懸命に対応をしていても、
園の中にある“システム”が変わっていないので
似たような課題が、手を変え、人を変え、ケースは違えど
さまざま浮かび上がってくるのです。
システムとは---
たとえば、日本中の保育園 どれ一つとして
同じ先生や子ども・保護者がいる園は存在しないにもかかわらず
現場の抱える課題には
「育成」
「保育者の在り方」
「コミュニケーション」
~など、共通点があります。
それはなぜなのか?
それは、たとえば「保育園」「幼稚園」「こども園」
~その中には 園長・施設長がいて、主任やリーダーがいて
現場の先生たちが日々暑い中で保育を行っている。
園は違えど、共通の“関係性”や“立場”によって
生み出される葛藤には、共通点があるためです。
現場にいると、つい「●●さんが」と人に着目しがちですが、
“人”ではなく、着目すべきは“システム”です。
そこには、どんなシステムがあるのか---?
たとえば、
「暗黙の了解」があり、聞けない雰囲気になっている。
聞けないことで失敗やミスがあると気まずい雰囲気になる。
~これもシステムです。
システムには繰り返されるパターンがあり、
例えばある保育者が辞めて、新しい人が入ってきても
そのパターンの元になっている「メンタルモデル」が変わらない限り
当たり前のように、人を変えて 同じことが起きてくるのです。
やり方を変えているのに、なぜうまくいかないの?
それは、
パターンが変わっていない。
根底にあるメンタルモデルが変わっていないからです。
では、それをどうすれば
変えていくことができるのでしょうか?
そこに必要なのは、「振り返り」と「気づき」です。
Q.何が起きているのか?
~私たちは忙しい毎日の中で「自分の目線」から物事を捉えています。
が、無意識の眼鏡をかけて見ていたり、
先入観・利害関係で上がってこない声・
死角になっていることなど、
見えづらいこともあるのではないでしょうか。
それらを、一旦立ち止まり、
客観的に振り返って考えていく中で
「事実をありのままに見るまなざし」や
「当たり前と思っていた捉われ」に気が付くことができます。
まず、「気が付くこと」が何よりも重要なのです。
Q.手放してもいいものは?
~例えば、私自身も
「有給という言葉を発してはいけない」
「残業は保育の仕事ではなくすことは不可能である」
「熱があっても、シフトなので無理をしてでも仕事に来るべき」
・・・と、どこかで思い込んでいました。
ですが、それって本当ですか?
もしかして---時代の変化の中で、古くなった価値観では?
それを手放すと、どうなりますか?
これまで信じてきたことを手放すというのは、不安なことであり
どうしていいのか分からなくなります。
さて、どうしましょう・・・?
Q.大切にしたいものは?
~そこで、こう考えてみてはいかがでしょうか。
社会や時代が変化しても
子どものために、大切にしていきたいものはなんだろう?
不変の真理とは---?
じつは、どこかで現実を前に諦めを感じ、
蓋をしてきた願いがあるのではないでしょうか。
たとえば、私の場合 大切にしたいことは
「心を込めて働いて、気持ち良くリフレッシュして帰ってくる」
「やるときは、やる。
『やってる自分』に酔うのではなく、
物事の本質を見つめてメリハリのある仕事をする」
「お互いの体調を配慮し合い、守り合えるチームになる」
~などでした。
Q.新たなやり方とは?
~大切にしたいことが見つかったら・・・
どうやって、それを実践していけばいいのでしょうか。
ここで大切なことは、これまでのシステム・パターンにとらわれず
理想の状態へ向けて、
自由に発想・チャレンジを歓迎することです。
あーでもない、こーでもない、と言いながら
思考や発想の枠を広げていくことで
これまでとは違った選択肢・意義が見えてくることでしょう。
それを模索していくプロセス(過程)でまず、
私たち自身の在り方が変化します。
物事にはDoing(やること・行動)と
Being(あり方)という側面がありますが、
どんなにDoingを変えても、
Beingが変わらなければ 結果は残念なままです。
一方、振り返りから気づき・
新たな視点を得ることでBeingが変わると
結果的にその後のDoingが変わるので、
その後の現実が変化します。
Q.できる身近な一歩とは?
~これまでのやり方にとらわれず
多様な視点から可能性を見つけたところで・・・
視野が広がりすぎて、収拾がつかなくなるということが
あるのではないでしょうか。
まずは、大きな可能性につながる【身近な一歩】を見つけていただき
行動を起こしていただく。
そのために、一人一人が自分と向き合う内省の時間や
行動について考える時間を設けています。
松原は、こういった背景を コーチングを学ぶ仲間の勉強会で
幸運なことに学ばせていただくことができました。
施設長時代、次々に押し寄せる課題に
振り回され忙殺される中で
立ち止まり、システムで読み解く中で、
一次的には課題が続々と出てくるものの、
次第に波が引くように前進していくことを実感していました。
現在はそれを、研修のプログラムとして
皆さんの現場に置き換えて考えることができるよう
「受講者が主役の場づくり」として
気づきを日常につなげる構成を組み、
提供させていただいていますが
おかげさまで、研修後の受講者の声から
現場が変わるきっかけになったと好評をいただき
大変うれしく感じております。
日々、現場で頑張っている保育者の力になりたい。
そのためには、
自分一人でできることには限界があります。
やり方を持ち帰ってもらい、
それぞれの現場や身近な仲間・地域を照らす
希望の灯を増やしていきたい。
~その思いから、
認定ファシリテーター講師育成講座を開催しています。
正直なところ、14回シリーズ&テスト・リベンジの中に
私自身が講師の師匠や先輩たちから学んできたこと・
失敗からの教訓を盛り込んでいますが
かなりボリューミーな内容になっております。
じっくり取り組み、
ご自身と仲間の笑顔を増やしていきたいと感じている方に
役立てていただければ、幸いです。