給食の好き嫌い、あなたならどうしますか?

こんにちは。保育コミュニケーション協会認定講師 上野里江です。

毎日の「給食の時間」楽しく過ごしていますか?

保育園の食事の時間は、子どもたちが食べる時のマナーを身につけることも大事ですが、
「何でも好き嫌いなく食べること」というのは保育士としての願いでもありますよね。

そんな願いを持って子どもたちの食事の援助をしていた私は

「もういらない!」「これ、嫌い!」などと言う子どもの姿に、
給食は残さず食べるように指導するべき?
給食を残すことはいけないこと? と、戸惑うことがありました。

同じクラスの担任同士でも見解が違う時もあり、
モヤモヤしながら日々を過ごしていたことを思い出します。

今回はそんな給食の時間について、一緒に考えていきたいと思います。

「一口だけ食べようね」は大人の自己満足?

私が2歳児クラスを担当した時、好き嫌いが激しくて野菜をほとんど食べない子がいました。
一緒にクラスを担当していた先輩は「これ、一口食べたら終わりにしようね!」と、
毎回その子に苦手な野菜を食べるように働きかけていました。

子どもは口を閉じて首を振って抵抗するのですが…
最後には泣く泣く一口食べる、そんな毎日でした。

その時代は、残さず食べる、苦手なものも頑張って食べる、ということを良しとしていたのかもしれません。

残さず食べさせようとするのも、好き嫌いなく食べるように指導するのも、
元気に成長して欲しいという願いがあるからこそ、子どものためを思ってのことなのですが…

今考えると「良かれと思って悪気なく」子どもの気持ちを考えずに
保育士側の思いだけが前面に出ていたのかもしれない、と思えてきました。

泣く泣く一口食べる子どもはどんな気持ちだったのでしょう?

同僚と価値観の違いを感じる時

2歳児クラスを一緒に保育していた先輩は、子どもに厳しく関わることが多く、そこまでしなくてもいいのに…と感じることもありました。

でも、それを直接言う事が出来なかった私…

子どものことを思うと何とかしたいと思うのですが、ことばが見つからなかったのです。

今、あの頃を振り返って、あの時の先輩に話をするとしたら、どんなことばをかけるだろう?
考えてみました。

残さず何でも食べて欲しいという先輩の願い、子どもには楽しく美味しく食べて欲しいという私の思い

どちらが正しいか?ということではなく、

クラスとして、私たちはどのように子どもと関わることがベストなのだろう?という問いかけができたら
一緒に同じ方向を向くことができたのかも?と思います。

一番大事なことは、目の前の子どもの姿を共通理解した上で、どんな関わりをすることが子どもにとって
成長につながるのか?ということを話せる関係になることかもしれませんね。

うどんを食べられない理由

ある時、年長組の女の子が、そっと教えてくれたことがありました。

保育園のうどんは乾麺で作っていたのですが、その子はなかなか箸が進まなかったのです。

そこで私は「うどん、嫌いなの?」と聞いてみました。
すると女の子は「お家のうどんは好きだけど…保育園のうどんは違うから」そう答えたのです。

なるほど。
いつも食べているうどんは丸くて太いうどんだけど、
保育園のうどんは平べったくて食感が違うから進まなかったのか!

そんなちょっとした違いが、子どもにとっては大きなことなのだ!ということを知りました。

もしかしたら、1歳、2歳の子どもたちも、家の食事との違いを敏感に感じたり、
見た目や量で食べられなかったりすることがあるのかもしれない。

保育士は当たり前のように「美味しいよ」と声をかけて食べさせようとするけど、
子どもにとってはそう感じられないこともあるのかもしれない。

それを我がままと思うか? その子の今の状況として受け止めるか?

保育士ひとりひとりの子どもの見方が問われているように感じました。

食事は楽しく!と考えている私は、保育士として、給食の時間はなんのためにあるのか?ということを
再確認しながら、子どもの気持ちに寄り添う関わりをしていきたいと思いました。

あなたは、どう思いますか?

残すことはいけないこと?

保育園では、調理さんがたくさんの子どもたちの給食を様々な配慮をしながら作ってくれています。

子どもたちが残さずモリモリ食べてくれると、調理さんも嬉しいですよね。

でも、クラスの年齢によって、メニューによって、残す量が多くなってしまう…そんなこともありました。

そんな時、「せっかく作ってくれたのに、残すなんて!」と子どもに向かって言ったり
強引に「あと一口!」とスプーンを口に運んだりする保育士の姿もちらほら見かけることがありました。

確かに、作ってくれた人のことを考えると申し訳ない気持ちになりますが…
作った人のために食べる、というのは「食べる」という目的が違うような気もします。

以前私がいた園では「給食は何のため?」ということをクラスの打ち合わせで話す機会を持ち、
調理さんに子どもたちが食べているところを見に来てもらう、という取り組みをすることになりました。

それまでは、たくさん残してしまうと「先生の食べさせ方が悪いのでは?」という声も聞こえてきたのですが

子どもたちの食べている様子を見てもらうことで
「このおかずは人気がないのね」
「もっと味があったら食べるのかしら?」なんて、
調理さんのほうから気づいて、より良くしようと変化していくこともありました。

調理さんと子どもたちが顔の見える関係になったことで、
「子どもたちにとって、より良くなるために」と
保育士とも話し合うことが増えたように思います。

子どもひとりひとりのために

給食は、子どもにとって保育園での楽しみのひとつだと思います。
でも、ひとりひとり好みも違うし食べる量も違う、満足するところは同じではないのだと思います。

残さないように食べさせる、というのではなく、美味しく食べられるように、
喜んで食べてくれるように、と子どもひとりひとりの気持ちを
調理さんと一緒に考えていくことが出来たら、給食の時間はさらに楽しい時間になるのではないでしょうか。

子どもの気持ち、保育士の思い、そして調理さんの思い…
みんなが対立するのではなく、
同じ方向を向くことが出来るコミュニケーションを心がけていきたいものですね。

給食の好き嫌い、あなたならどうしますか?” に対して2件のコメントがあります。

  1. eri より:

    本当に給食は誰のためになんの為にと考えさせられることがあります。
    保育の現場と調理の先生方と連携をとって子供たちにより良い給食の時間が提供できるように努めないとと改めて感じました。

    1. Riueno より:

      eriさん、コメントありがとうございます。
      認定講師の上野里江です。
      「子どもたちのために」というeriさんの思いが伝わってきました。
      保育現場と調理さんとの連携…小さなことから一歩ずつ!応援しています。

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