もどかしさを感じる危険な場から、安全な場へ。場を意識することで、変えられる!

長文シリーズ、第三弾。
今回は、保育の中での「場」をテーマに一緒に考えてみましょう。

「子どもは好きなんですけど…職員間の人間関係が難しくて」
そんな風に感じているあなたへ。

分かります。
私も短大の先生に「もう辞めたいです…」と泣きついたことがありました。
そのとき先生がこう言ったんです。

「あなた…。子どもが嫌で辞める人なんていないのよ。
みんな、人間関係で悩むの。だから頑張りなさい!」
…そう言われたものの、どう頑張ればいいのか分からず、途方に暮れてしまったあの一年目の頃を、今でも思い出します。

Q. あなたの身近には、どんな「場」がありますか?

私が就職して初めて配属された職場では、「事務兼フリー」というポジションでした。同期たちはそれぞれクラスを受け持っていたのですが、私は事務所勤務。
「いいなぁ、みんな子どもとふれあえて…」
そんな風に思いながら、事務所で仕事をしていました。

そんなある日、ガラッとドアを開けて事務所に入ってくる先生たちを見て、ふと気づいたんです。
入ってくる先生によって、その場の空気が変わることに。

たとえば…

  • おっとりした、優しさと厳しさのある先生
  • はつらつとしているけれども、事務所では人を批判している先生
  • 深く人とかかわることを避けるように、必要最低限の関わりで、そそくさと事務所を後にする先生
  • 私と目が合うと、ニヤッと笑う同期。
  • ツカツカツカ…と足音が聞こえると職員室が緊張感に包まれる、副園長先生
  • いるのに気づかれず、「あれっ、いたんだ!」と思わせる、ふんわりした存在感の園長先生

それぞれの先生が放つ雰囲気や影響力で、事務所の空気がその都度、複雑に変わっていくのを感じていました。

その後、プロセスワーク心理学を学んだとき、「心理的ランク」という概念に出会いました。立場や影響力のある人の存在が、その場の関係性や空気感にどれほど影響を与えるのか、あのとき初めて実感したのです。

でも、そんなことに気づく前の1年目の私は…
アルバイトで接客経験があったこともあり、「自分はコミュニケーション力が高い!」と勝手に思い込んでいました。

ところが現場に出ると、まったく勝手が分からず。
「見て!」
「気づいて動いて!」
「はぁ…」
先輩からため息をつかれる日々でした。

人間関係に悩んだ新人時代

ある日の仕事終わり、更衣室に入ろうとしたときのことです。ドア越しに聞こえてきたのは…
「今年の新人って、動けないよね。気が利かないしさ。」
「うちらのときは、先輩がやってたら『替わります、替わります!』ってササッと交代してたよね?」
そんな陰口が次々と飛び交い、盛り上がっている様子でした。

表ではにこやかに話している先輩たちが、裏ではこんなことを言っている…。
「じゃあ、本当はどっちの顔が本音なの?」
「いいことを言っているときも、心の中では違うことを思ってるの?」
そんな混乱とともに、人間不信の気持ちがどんどん膨らんでいきました。

「これが、女の世界ってやつなのか…」
呆然としながら更衣室の入り口で立ち尽くしていると、後ろから先輩がやってきました。

ガラッとドアを開けて、
「なんだ、いたの!?いるなら言ってよね。」
(いや、言えるわけないじゃないですか…。)

そんなやりとりに、ますます心がしんどくなりました。
後で知ったのは、この陰口も先輩たち自身が新人時代にされてきたことを、そのまま繰り返しているだけだったということ。でも、そうと分かっていても、あの1年目は本当に苦しい思い出として残っています。

その後、児童養護施設の職員に転職したり、派遣保育士として都内や横浜の園にスポットで入ったりしていました。
どの職場でも、一人ひとりは本当にいい人なんです。
でも、不満がポツリと出始めると…あっという間にその場が不満のループに引き込まれてしまうんですよね。

少しのきっかけで変化する場の雰囲気

STARクラブでシステム思考などを学ぶ中で、私は「好循環のループ」と「悪循環のループ」があるということに気づきました。正直、自分自身もネガティブな気持ちになっているときには、一緒になって不満を口にしてしまうことがありました。
でもその後に感じる、なんとも言えない後味の悪さ…。

「これはいいことじゃないなぁ」
「加わるのはやめよう」
そう思ってからは、さりげなく話にペーシングを合わせつつ、自然に場から離れるようにしました。しかし、問題は自分が施設長になってからです。

ある日、更衣室に入ると、すでに盛り上がっているネガティブな話題の輪が。やり過ごすのも一つの手ですが、人にはいろんな側面があって、どこに焦点を当てるかで見え方が変わることを学んでいた私は、別のアプローチを試してみました。

まず、ペーシングをしながら場を共有した後、あえてすっとぼけたように、こう言ってみたんです。
「そういえば…○○先生のおかげで、こんなにいいことがあったんですよ!ホント、助かりますよね~。」

すると、最初はみんな「え?」という感じでしたが、次第に…
「そういえば、○○先生ってこういうところありますよね。」
「そうそう、じつはね…」
と、話題がポジティブな方向へと変わっていきました。

背景には、「欠けているところに目が行きがちな空気感」を変えたくて、毎週Good&Newを取り入れていたこともありますが、改めて思ったんです。
私たちは、場の雰囲気を変えることができるのかもしれないと。
そんな小さな種まきが、少しずつでも良い変化を生み出すきっかけになっていると感じています。

あなたの周りには、どんな「場」がありますか?
・会議の場
・事務所でのやりとり
・同期とのごはんタイム
・先輩と準備をしているとき
・クラスで子どもたちと過ごしているとき
…など、さまざまな「場」があるのではないでしょうか。

でも、時にはもどかしくてやりきれない気持ちになることもありますよね。
「自分には何もできない」――そんな無力感を感じることもあるかもしれません。

でも決して、そんなことはありません。
「この園をもっと良くしたい」
「子どもたちのために、より良い環境を作りたい」
そんな尊い思いを持っているあなた自身が、すでに園への大きなギフトなんです!

でも、「どう関わったらいいんだろう?」と迷うこともありますよね。そんな時は、一緒に作戦を練ってみませんか?

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