「お口チャック」は不適切?おびえるのではなく、エンパワメントする保育へ

研修の事前アンケートにて、

「お口チャック、って…不適切なんですか?

 じゃあ、それに代わる言葉はいったい何でしょうか。」

…という問いかけをいただきました。

 

お口チャック…

「使ったことがあるフレーズだ」という方も、いらっしゃるのではないでしょうか。

 

私も保育の現場に入った頃、先輩が声掛けしているのを耳にして

何気なく「お口チャックだよ」と子どもたちに伝えていた記憶があります。

 

とはいえ―――この言葉、よくよく考えてみると、大人に使いますか?

 

例えば、私が担当する研修にて、受講者であるみなさんがワークで大盛り上がりして

なかなかお話が止まない状態になったとしましょう。

そんなとき…「みなさん、お口チャックですよ!」

~とは、言いません。

 

もしも使ったら…大人としては、

「はぁ?なにこの講師。」と感じるのではないでしょうか。

大人に使わない表現は、

子どもにも使わない方がいいのかもしれません。

 

そういった場合、私だったら…

「盛り上がりましたね。どうもありがとうございます。

 この後、○○になりますのでそれでは切り替えてまいりましょう。

 お話を聞きたい方もいらっしゃいますので、一旦お話を終えていただけますか?」

~とお伝えします。

そうすると、みなさん ハッとされた後、ご協力くださる空気感になります。

そう考えるとーーー

子どもにも、同様のことが言えるのではないでしょうか。

 

「楽しかったね。○○していると嬉しいよね。

 この後、○○があるよ。

 準備をしてくださっているので、静かにして耳を傾けてみようか。」

~と。

 

不適切表現とのちがいとは?

 

ここで、「お口チャック」とのちがいについて考えてみましょう。

 ---こちらの場合、一言で済みますし

 言われたときは静かになるかもしれませんが、その理由が分かりません。

 そのため、またお話をし始めるかもしれません。

 そのたびに「お口チャックって言ったよね?」と

 同じやり取りを繰り返すことになり、学習や成長が見られず

 大人の顔色を見て

「先生が怒った顔をしているから、お口チャックだよ」

~となるのではないでしょうか。

 

一方で、理由を伝えて一緒に同じ方向を向くアプローチの場合はは

都度、「どうしてそうする必要があるんだっけ?」と考える必要もあり、

大人は頭を使い、お話をする時間も掛かります。

その分、子どもにも理由が伝わり「そうだな」と納得できて

自分の内側から自主的に行動を選択することができるようになります。

 

そしてこれは、ほかの場面においても応用ができる

「考える力」へとつながっていきます。

子どもの権利を尊重する保育ーーーその先にあるものは、

子ども自身の内側にある力や可能性を発揮することができる状態

エンパワメントなかかわりをすることであり、

子どもたちがイキイキと自分を生きることができる保育や日常を

実現することなのではないでしょうか。

 

ここまでお読みになってみて、いかがでしたか?

 

今回の「お口チャック」は一例でしたが、

保育の日常には様々な場面がありますね。

 

その都度、

「もしかして…このかかわりも、不適切?」

…とおびえるのではなく、

エンパワメントなかかわりを目指していきたいですね。

<こんな人へ>

・保育の見直しで混乱されている方へ

・先輩・上司・同僚の不適切な行為にどうかかわればいいのか悩んでいる方

・自分を振り返り、できることを見つけてきたい方へ

<プログラム>

1.不適切な保育とは

2.子どもを取り巻く社会の変遷

3.子どもの権利から始めよう

4.保育現場の葛藤~変化を受け入れる心構え

5.未来へ向けた保育のために

6.より良い保育へ向けた一歩

<対象者>

・保育園・幼稚園・こども園勤務

・病児保育施設勤務

・児童養護施設・乳児院勤務

・子育て支援施設勤務

・学童保育勤務

・放課後ディサービス勤務

<参加者の声> *2023年度開催実績:岡山県こども未来課・
          鳥取県琴浦町子育て応援課こども未来係・愛知県豊橋市こども未来課

雑に扱われると、雑に扱う人になる、というのが印象に残りました。
忙しさを理由に、集団活動を重きにもちすぎ、一人一人と!
ちゃんと向き合えていないことがあります。
子どもの声にならない声に気付き、向き合いたいと思います!
人はみんな違う!みんな違っていい!
先生も!子どもも!

自分のことを振り返ると耳が痛い話もありましたが、
社会の変化に合わせて保育の常識も変わるとお聞きして、そのとおりだなと思いました。
こどもになったつもりで嫌な言い方をされるのは本当に良くないと気づけたので
自分の子どもに対する言葉がけを気をつけていこうと意識して保育することができました。

先生が経験してきたことや、例を出してくださって、
それに対してみんなで声を出してみなさんの思いを聞けたことが良かったです。

毎日現場で保育している者にとって、どこまでが不適切保育かそうじゃないのか…
いつも考えながら保育していたので今回の研修はとても勉強になりました。

否定的な声掛けを肯定的な声掛けに置き換えるというのはハッとさせられました。
保育者も謙虚に色々な言葉を知るところから始めなければと反省です。

開催日時

【日 時】2024 年4月14 日 (日) 10:00~12:00

【場 所】ご自宅からオンラインツール:ZOOMにて

【アクセス】お申込みの方にお知らせいたします。

 

<料金> 
一般:3,900円 (税込:4,290円)
無料Line会員・ご紹介:3,800円 (税込:4,180円)
オンラインサロン会員:3,700円 (税込:4,070円)

 
<講師:松原美里>

保育園・児童養護施設にて保育に携わる中で子どもを支える大人のサポートの必要性を感じ、コーチングを学ぶ。米国認定コーアクティブコーチ資格取得。現在は認定こども園エクレス(保育園) 施設長を経て、参加者の声から創るプログラムにて、コーチング講座・研修講師として保育士向け新人継続支援研修・中堅育成研修・保護者支援研修・マネンジメント研修・リーダーシップ研修・子育て支援研修・「ほいくあっぷ 保育者お悩み相談室」監修等を行っている。保育コミュニケーション協会にて、保育者の日常を支えるオンラインサロンや研修を主催。Youtube「うめちゃんねる」にて発信中。

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