職員一人ひとりの違いが光る保育

こんにちは、認定講師のたまみです。

新年度が始まって2か月、クラスにチームワークができ始めた頃ではないでしょうか?
クラスには、クラスをまとめていく主担任の先生や補佐の先生、
複数担任のクラスでは、パートの先生、新人の先生が一緒に保育をしていることと思います。

一緒に保育を行う中で主担任は、
「こんなふうに保育をすすめていきたい」
「こんな関わりをして欲しい」
「進級までにここまで育てたい」など思いはあっても、
チームの中に自分より年齢が上で経験があるパートの先生や自分より長く勤務している先生がいると、
保育への思いやクラス運営のことを自分が何か言葉を発することで、
「年上の先生や経験豊かな先生達とせっかく築き始めている関係性がとギクシャクしてしまうのではないか」
「保育の上でこうして欲しいと思っていてもなかなか言いにくい」
「クラスの雰囲気が悪くなるかもしれないから言えない」など気を遣ってしまい、
なかなか言い出せないまま日々を過ごしている方もいるのではないでしょうか?

 

保育という仕事を選んだ理由は、
・保育/子どもが好きだから
・資格があるし、経験があるから活かしたい
・保育園で働きたいし家が近いから
・ずっと勤務してきた園だし再雇用されたから働こうと思った
などみんなそれぞれ働いている理由は違います。

パート、補助、非常勤、常勤な、正規など、それぞれの立ち位置が違うのではないでしょうか?
そしてみんな今までの経験やそれぞれ持っている価値観も違います。
立ち位置、経験年数、価値観、子どもへの視点など違うけれども、
違いを生かした保育ができるとしたら、
保育により生き甲斐を持ってみんなが職場で輝いていけるのではないでしょうか?

それぞれの違いを生かす保育へ・・・認める視点を持つ

人間ですから誰だって長所や短所があり、得手不得手があるのは当然です。
「この課題はまだこの先生には無理だな」とできないことも認めることも大事ですが、
「こんなところがいいよね」「こんなところができてすごい」など、
いいところは言葉に出して伝えることも「認めて違いを生かす保育」への第一歩になります。

以前、こんなことがありました。
3歳児クラスの話ですがクラス担任がパートの先生に
自分の思ったことを素直に声に出して伝えた時、少し変化が起きました。
ピアノが苦手な主担任の先生とピアノが上手なパートの先生が3歳児クラスを受け持った年でした。
主担任が苦手なピアノをパートの先生が弾いてくれることによって、
子どもに色々な歌を教えていくことができるようになりました。
ある日主担任がパートの先生に
「ピアノ、上手ですよね。ピアノを弾いてもらって助かっています。」
と感謝の気持ちも伝えたことで、パートの先生は、自分が役に立っているのだと嬉しくなったそうです。
それをきっかけに保育にやりがいを感じ始め、
自分のクラスを二人で力を合わせてよりよくしていこうという意識が強くなりました。
相手の素晴らしいところを認め、感謝の気持ちも伝えたことで、二人の絆が深くなり、
主担任の子どもへの思いなども解り、子どものこと、保育のことなどしっかり話しあい、
保育の価値観も揃うようになりました。

それぞれの違いは立体的な視点になる・・・視点の違いは保育を深める

それぞれの立ち位置にいる先生が、今までの人生の中で経験してきたことは違います。
生きてきた環境や経験が違うからこそ、目の前の子どもの保育の視点・捉え方に違いがあり、
そうだからこそ、保育の上では立体的な視点となって子ども達を観ることができます。

私がパートだった頃、正規の先生の保育、子どもの様子、
関わり方など立体的、客観的な視点で観ることができました。
それは、パートという位置だからこそ全体をまとめていくことはなく、
担任の伝え方や関わり方、それに対しての子どもの様子や表情を細かく観ることができたのです。

男性保育士が主担任で、私ともう一人の先生の3人でクラスを持った年でした。
「先生がこう話していた時、子どもはこんな表情していたよ」
「話しがよく解っていなかったみたいよ」と主担任に伝え、改善していくことができました。
もう一人のパートの先生は潜在保育士だったからこそ、母親のような視点で子どもを観ることができました。
3人の視点が違うことで客観的に観る視点や子どもの気持ちを
立体的に視る視点になり、保育をよりよくしていくことができたのです。
立ち位置の違いを観る視点へと転換していくことでよりよい保育へつなげていくことができます。

コミュニケーションを積み重ねることで、チーム力へ

人は、共通点を相手の中から見出した時、親しみを感じるものです。
普段の保育中ではなかなかざっくばらんに話をすることができなくても、
先ずは、「言葉を交わすこと」から始めなければコミュニケーションはとれません。
毎朝笑顔で挨拶を交していく、声を自分から発し、
掛けるうちにコミニュケーションは自然ととれるようになってきます。

以前、職員の入れ替えがあり、たくさんの先生達が園に入って来ました。
「保育が好き」「子どもが好き」「子どもの為によりよくしていきたい」という気持ちは一緒だったのですが、
今まで保育してきた環境も、経験も違う。また、行事などの価値観やそれまで大切にしてきたことも違い、
何度も意見がぶつかりあうことがありました。
そんな中で、気持ちをぶつけ合い、意見を言い合い、一緒に仲間として働けるようになったのは、
「今よりもっと良い保育をしたい。」という気持ちが一緒だということがお互いに解ったからでした。

みんなで気持ちをリセットし、スタート地点に戻り、
感じのよい挨拶や受け応えから始めようと決め、心掛けてしていくうちに、園に笑顔が増えていきました。
そして、いいところもそうでないところも
「ありのままの姿」を受け入れ合うようになり、認めあえるようになりました。

あれから現在までの間、出会いがあり、別れがあり、新しい職員が入っても変わらずに行っていること。
それは、「挨拶は感じよく」「相手の目を見て挨拶をする」
「いいとこともそうでないところも認め合う」ということです。

コミュニケーションについて、かつて読んだ記事の中に
「『挨拶は愛(eye)コンタクト』、『相手と目を合わせて挨拶をする』ことは、
『あなたを認めています』という意味だから相手と目を合わせて挨拶を交そうね。」
という記述があり、それを実践しています。

言葉ああたたかいコミュニケーションを積み重ねていくことによって、
「違いを認めあえる」ようになり、「言葉を交わすことよって、相手の価値観を知る」ことができ、
その積み重ねで培ってきたことが「チーム力」となります。
先ずは、「言葉を交わすこと」「相手を知ること」「いいところを見つけること」から始め、続けてみてください。

園全体で職員集団としての在り方を考え、いい循環を作っていく

国にも法律があるように、保育にも指針があるように、
園でも職員間で職員集団としての在り方や目標を作ることをおすすめします。
職員会議の時に「今年はこんな職員集団としての目標を作ろう。」と提案してみてください。
そして、「望ましい目標」を決めます。
「笑顔で挨拶をする」とか、「みんなで助けあう」とか、職員の口から色々出てくると思いますので、
今年度の目標を3つくらいに絞り、決めていきます。
「陰口をいわない」なども入れていくといいですね。
それを会議室などに貼り、職員がいつでも目にする場所に貼っておくことで意識づけがしやすくなります。
自分たちが決めたので守らなければという気持ちが強くなり効果的です。

皆さまの園でも是非試してみて下さいね。

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