後輩育成のアプローチ〜後輩の気持ちを知って気づいたこと〜

こんにちは。
保育コミュニケーション協会認定講師 上野里江です。

保育の仕事を何年か経験すると、リーダーとして後輩指導をする立場になることがありますよね。

私もたくさんの後輩と一緒に仕事をする中で、
早く仕事を覚えて欲しい!自分がちゃんと教えなくちゃ!
そんなリーダーとしての期待やプレッシャーを感じながら指導をしていたのですが…

後輩に上手く伝わらない、なかなか出来るようにならない、といったもどかしさを感じることが多々ありました。

そこで今回は後輩指導のアプローチについて、一緒に考えてみましょう。

新人さんの苦悩

私が2歳児クラスで新人さんと組んだ時の出来事。
新人さんが子どもをトイレに連れて行くと戻ってくるまで時間がかかる、ということが何度か続いたのです。

食事のあとは片付けや午睡準備で大忙し。私はイライラして、新人さんが戻ってきた時に、
「ちょっと、ひとりに時間かけすぎ!ちゃんと時間みて」と、言てしまったのです。

新人さんは「すみません」と言って涙をこらえていました。

言いすぎた!と気づいた時は後の祭り。

私はその日の午後にゆっくり話をする時間をつくりました。

「トイレの時間がとっても長いように感じたのだけど…」と私が言うと

「子どもが、まだ!って言うのをどこまで待ってあげたらいいのか、どうやって切り上げたらいいのか分からなくて」
と泣く新人さん。それを聞いて初めて、新人さんは困っていたのだ、ということを知りました。

トイレの介助の仕方は教えたけど、1対1で子どもとどう関わったらいいのか、
ということをちゃんと伝えてなかったことにも気がつきました。

子どもって相手を見ますよね。新人さんに対しては、自己主張が激しかったようでした。

新人さんは子どもの対応に困っていたけど、こんなこと聞いたら怒られるかも?
と、不安で言えなかったようなのです。

教えたら出来るだろう、というこちらの思いがプレッシャーになっていたのかもしれませんね。

「指導」から、「育てる」コミュニケーションへ

特に新人さんは初めてのことばかりなので、先輩として教えることは必要だと思います。
でも、教えてあげるだけでは出来るようにならないということを実感し、
教えたことがどこまでできているか、困っていることはないかを見届ける関わりが大切だと分かりました。
育成で一番大事なことは、後輩が自信を持って保育の仕事ができるようになること。

こちらが教えたことをすぐに出来ないとダメ!ということではないのですよね。

2歳児クラスで一緒だった新人さんは、1年かかりましたが
子どもの気持ちを汲みながらやり取りができるようになって行きました。

すぐに出来るようにはならないけど、時間をかけることで育っていくのだということを感じました。

私自身が「指導する」から「育てる」という意識に変えていくと、

「何回言っても分からないんだから!」とイライラすることより
「どんな言い方をしたら伝わるかな?」と自分の在り方を見直すようにもなりました。

「育てる」って、子どもも同じく…時間と手間がかかるのでしょうね。

育成のアプローチ

 

私が新人だった頃、先輩がやっている姿を見てはまねして、
上手くいかない時はまた観察してやってみる、
そんなふうに仕事を覚えていったような気がします。

でも今は、見るだけでは意図が伝わらない、どこを見たらいいのか分からない…
そんな声を聞くことがあります。
さらに、きちんと教えることは必要で大事なことだけど、教えただけでは身につかない!
ということを実感することが多々ありました。

後輩育成は難しいなぁ~と思っていたその頃、コーチングを学び、
まさにこれだ!と感じたのが双方向のコミュニケーション

見てまねをすることも、きちんと教えることも大事なことだけど、
その上で、「やってみてどう?」と話しを聞いたり、
出来ていることを認めて声をかけたりするコーチング的コミュニケーションが、
後輩にとって安心感とやる気につながっていくと思ったのです。

私も数十年前は新人でした。
毎日失敗しないようにやらなきゃ!とドキドキしていた時、先輩が笑顔で話しかけてくれただけで
ホッとしたのを覚えています。

もしかしたら、先輩の笑顔は何よりも後輩の力になるのかもしれません。

一緒に保育をしていく仲間を育てる、という気持ちで、
笑顔で双方向のコミュニケーションを心がけていきたいものですね。

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