新人から見た保育の現状

現役で保育士二年目として働いている、ゆめと申します。

2018年に保育所保育指針が新しく改正されましたね。主に保育園を「幼児教育を行う施設」という位置づけにし、乳幼児保育に関する記載が充実する等の変更がありました。それに伴い、今までの保育のあり方も大きく変わり、より子どもの主体性に重きを置かれるようになりました。

当然保育科の授業内容も変わり、主体性を主とした保育を学び晴れて保育士として働いている新人保育士さんが多くなってきている頃なのではないでしょうか。実は私もそんな新しい保育を学校で学び就職したうちの一人なのです。

新しい方針の保育を学び『子ども一人ひとりの個性を大切に育てていく一員になれる!』と期待して就職した先に待っていたのは、学んだことと保育変革に対応しきれていない保育園や先輩方とのギャップでした。

「おもちゃを出しすぎると、ごちゃごちゃして危ないから保育士が決めて出している」
―子供主体の保育のはずなのに、保育士がおもちゃを選んで出しているのはなぜ?

「おままごとをしている中で、子どもたちがブロックなどおままごとじゃないおもちゃを鍋に入れて遊んでしまうが、おもちゃが混ざってしまうから注意してほしい」

―なぜおもちゃを混ぜて使ってはいけないのだろう?

このように、学んできた保育が違うがゆえに、保育に対しての考え方のギャップが先輩保育士と新人保育士の間で今まで以上に大きくなっている事態が起きています。

すべての園に当てはまるわけではないですが、実際に保育の変革が行き届いていない園には、こういったことが起きているのではないでしょうか。

新人保育士にとっては、そういった疑問があったとしても「そんなことも分からないのか」と思われるのかも知れないという不安から、質問したいけど質問できないという声をよく聞きます。また、せっかく最新の保育を学んできたとしても「先輩が言うならそうなのだろう」と、最初は疑問に思っていたとしてもだんだんと従来の保育に慣れてしまい、疑問に思うことすらなくなってしまっていたという声も多く聞きました。

なぜ上記のようなことが起こるのか理由を考えてみたところ、先輩保育士が悪いわけではなく、次の三つの理由が考えられました。

  1. 従来やって来た保育から現在日本が掲げている保育がどういったものなのか知る機会がない。

  2. 知る機会があったとしても、自分には該当しないと思っている場合がある。

  3. 知ったとしても、机上の空論だと思っている。

こうした理由から、先輩保育士は変革後の保育に触れることがないまま後輩指導についてしまい、新人保育士は先輩保育士から学んでいこうと思うため、どうしても従来の保育に寄ってしまいます。

ではどうしたら、新人保育士と先輩保育士でそのギャップを埋めていくことができるのでしょうか?
その鍵は、お互いを人として尊敬し合い耳を傾けようとする姿勢なのではないでしょうか。

「まあ一年目だしね。」
「保育が分かってないな。」

一年目だから、二年目だからと後輩に教えることに一生懸命になってはいませんか?
年功序列の傾向が強い日本の保育現場では、どうしても後輩の意見や考えが届きづらい環境になりがちです。

確かに一年目、二年目の保育士は、目の前のことにいっぱいいっぱいで余裕がなく、周りが見えていないことが多くあります。保育に関する知識や引き出しも先輩保育士に比べたら少ないでしょう。とはいえ、一番新しい保育を学び純粋に学びを保育に生かそうとしているのが新人保育士なのではないでしょうか。そういった学びやアイデアは現場への新しい風になり得ます。共有しあえる雰囲気を作り面白がって受け入れてみませんか?
そうすることで新しいヒントを得て保育が広がり、従来の保育の大切な部分を新人に伝えていくことができるのではないでしょうか。

保育指針が変わり、保育の変革がされている今、未来を見越した保育改革が大切です。最前線である現場の意識改革へ向けて、お互いに尊敬し合いながら新しい文化を創り出していけるといいですね。

 

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